想像の敗北
わたしの書くお話は、
基本的に自分のためのもの。
自分が興味ある内容を、自分が読んだときに
おもしろいと思えるように書いています。
でも、すこしは変わってみたいと思ったので、
他人が喜びそうな内容で書けそうなものを
考えることにしました。
最近のはやりらしいのは、
『惨殺系』・『痴情系』・『箱庭宇宙系』です。
この中で書けそうなものを考えると――
『惨殺系』しかありません。
なぜなら、他はそういう状況になることが
一切理解できないからです。
たとえば痴情系で、何十人から一度に好意を
寄せられる状況になろうと、
わたしはだれも選ばないか、
すぐに一人を選んで終了です。
箱庭宇宙系なら、『わたし』と『相手』の行動が
世界を変えるなんて状況になることすら
想像できません。
でも惨殺系なら、殺し殺されする状況に
閉じ込められたとしたら、
普段は暴力反対と言っている人も
生きるために武器を取るはずです。
というところで、惨殺の話を
たまにぼちぼちと考え進めていました。
惨殺系なので、とにかく人は
殺し殺されしなければなりません。
しかもこういうのが好きな人は、
ただ人が死ぬのでは喜ばず、
生きたまま人を蛇や毒虫の穴の中に
叩き込んでもがきながら死んでいくとか
妊婦のおなかを裂いて胎児を引きずり出すとか
焼けた柱に体をくくりつけて
生きたまま焼くとかしないと
満足できないそうです。
……あれ? 妲己を語った本って、
古代惨殺モノの祖なんでしょうか。
それはわかりませんが、
処刑は人の娯楽だったこともありますし、
特に最近でてきた傾向でもないのかもしれませんね。
とりあえず、普段であれば
別に殺しあわなくてもいい人間が
お互いを殺しあうような状況、舞台は
すこし考えたらなんとか思いつきました。
でも、そんな状況に陥って、
だれか『ボス』を一人だけ倒せば
その状況が終わる、もしくは
自分ひとりだけ生き残れば
世界はすべて救われる、という状況は
わたしには思いつきません。
普段のわたしなら、全員死ぬか、
最後に生き残った二人が殺しあって
二人とも死ぬか一人が生き残るかという
感じに行きそうですが、
救いのない終わりは喜ばれないと
なにかで見ました。
ひどい状況ながらも、なんとなく救われて
終わらないとだめなのだそうです。
そこで詰まって、ラストだけを
ひたすら考えること何日か。
そしてようやく、その解決を思いつきました。
そうなれば、次は中身です。
まずはいくつかのイベントを考えます。
惨殺系なので、基本イベントは惨殺です。
そういうのが好きな人向けに、
とびきりむごたらしくて残酷なものに
しなければいけません。
たとえば主役たちが施設内を歩いていると、
主役はかすかな異臭を感じ、
止まるように言います。
でも気づかなかった仲間は先に進み、
そこで人の死体を見つけます。
でも、普通の死体では普通らしいので、
もっとひどくしなければいけません。
舞台は夏なんかがいいかもしれません。
壁に何本ものナイフで打ち付けられた死体は
まるで昆虫採集の虫のようです。
でも赤くて黒くて最初はなにかわかりません。
黒いうごめきに目を凝らすと、
それはハエやなにかがたかっていて、
裂かれた体からは内臓がこぼれ落ちていると
そのうちわかります。
死後なんにちか経っていれば、
きっとなんともひどい臭いが――
と想像していたら、胃がうねっとして
危なくそのまま吐いてしまうところでした。
……だって、人の体ですよ?
もともと生きていた人が、
生きていたときには人として動いていたものを、
死んだからって切り刻んでもてあそんで、
生前の人格さえ侮辱するような形で
放置するなんて、想像とはいえひどい苦痛です。
惨殺系が好きな人、処刑が好きでたまらない人って、
そんなさま、そんな状況の
なにが楽しいんでしょうか。
……やっぱり他人の気持ちなんて
わたしには理解できません。
というよりもそんなもの
わかりたくない気持ちでいっぱいです。